シナー、ズベレフはグループステージで3勝0敗のパーフェクトレコードを記録

トリノで行われている2024年 Nitto ATPファイナルズは、8名のエリートプレーヤーたちによる6日間のグループステージを終え、土曜日からはいよいよノックアウトラウンドが始まります。

地元イタリアのヒーロー、PIF ATPランキング1位のヤニク・シナーは、カスパー・ルードと対戦。引き続き、イナルピ・アリーナでの完璧な1週間を目指します。世界2位でグループステージを3勝0敗で突破したアレクサンダー・ズベレフは、テーラー・フリッツと顔を合わせます。

ダブルスでは、オーストラリアのマックス・パーセル / ジョーダン・トンプソン組が、ドイツのケビン・クラビーツ / ティム・プッツ組と対戦。第1シードのマルセロ・アレバロ / マテ・パビッチ組は、ハリ・ヘリオバーラ / ヘンリー・パッテン組と戦います。

[1] ヤニク・シナー(イタリア) vs. [6] カスパー・ルード(ノルウェー)
今年、世界1位として初めて地元でプレーしているシナーは、1セットも落とさずに準決勝進出を決めました。シナーは、グループリーグで、アレックス・デミノー、テーラー・フリッツ、ダニル・メドベージェフと対戦しましたが、1セットで4ゲーム以上を取られることはなく、ブレークポイントを与えたのは4回、そのうちブレークを許したのは2回でした。

「ここでの雰囲気は素晴らしいので、今週は良いテニスをすることに集中しています」と、グループステージを無敗で終えたシナーは話しています。

シナーは、今季、ツアー最多の7つのタイトルを獲得しており、そのうち6つはハードコートでのもので、2つの四大大会タイトル(全豪オープン、全米オープン)と、3つのATPマスターズ1000のタイトル(マイアミ、シンシナティ、上海)です。

「今年、自分が成し遂げたことは分かっています。それを踏まえて、良い心構えでコートに立つようにしています」と彼は自身の成功について語りました。「毎日支えてくれる素晴らしい人たちが周りにいてくれることが、私にとって本当に大切です。コートにいる時間を楽しむことを心がけています」

ルードは、2024年にバルセロナとジュネーブでクレーコートのタイトルを獲得しましたが、今回はシナーの勢いを止めるという困難な課題に直面しています。Lexus ATP Head2Head の対戦成績のデータによると、これまでの2回の対戦(いずれもインドアハードコート)ではセットを取れずに敗れており、最後の対戦からは3年以上が経過しています。

準決勝に駒を進めたルードは、これ以上ないほどの試練を乗り越えてきました。グループステージでは、初戦でPIF ATPランキング3位のカルロス・アルカラスに勝利。第2戦では、世界2位のズベレフに1度しかブレークポイントを許さなかったものの、接戦の末に勝利を逃しました。アンドレイ・ルブレフとの対戦では、準決勝進出を決定づける1セットを奪い、最終的に勝利を手にしました。

土曜日は、さらにタフな戦いになることが予想されます。ルードは、絶好調のシナーとイタリアの観客の両方を相手にしなければならなりません。

「今年、シナーのプレーはずっと世界最高のレベルでした。地元でプレーしていますし、今大会は1セットも落としていません。彼は挑む価値がある選手だと思います。自分も全力を尽くします。彼は負けることを忘れてしまったようです。おそらく今年一番のタフな試合になると思いますが、準備はできています」とルードは話しています。

[2] アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ) vs. [5] テイラー・フリッツ(アメリカ)
ズベレフとフリッツは、今シーズンATPツアーで最も出場試合数が多い選手に名を連ねています。トリノの出場選手では、シナー、アルカラス、ルードとともに、50勝以上を挙げています。

そんななか、Nitto ATPファイナルズのタイトルに向け、両選手ともまだ十分な力を残しています。

「多くの選手がかなり疲れ切っていると思います。でも、もし Nitto ATPファイナルズの準決勝に進めるなら、まだエネルギーは残っています」と、フリッツは、木曜日にアレックス・デミノーを3セットで破った後に話しています。

準決勝でのこの両選手の対戦は、ズベレフにとって2024年シーズンの90試合目(69勝20敗)、フリッツにとっては74試合目(51勝22敗)となります。また Lexus ATP Head2Head の対戦のデータをみると、両選手が2024年に顔を合わせるのは、これが5度目です。

「グループステージを3勝0敗で終えられたのは確かに嬉しいですが、準決勝はとても厳しい試合になると思います。(テイラーは)ここ数回のグランドスラムで私に勝っています。この対戦を楽しみにしています」と対戦成績で5勝6敗と負け越しているズベレフは話しています。

ズベレフは今年のローマの準々決勝でフリッツを下しましたが、フリッツはウィンブルドンで5セット、全米オープンで4セット、そしてレーバーカップではストレートでズベレフに勝利しています。フリッツのズベレフに対する3連勝は、両者の対戦のなかで初めての記録です。しかし、ズベレフの好調なテニスと PIF ATPランキング年末2位ということを考慮すると、トリノの対戦では、わずかにズベレフのほうが有利かもしれません。

フリッツはラウンドロビンの対戦でシナーをあと一歩まで追い詰めました。地元のスター選手であるシナーに対し、接戦となった第1セット、第2セットとも粘りを見せましたが、それぞれのセットの終盤にブレークを許し、勝利を逃しました。アレックス・デミノーとの対戦では第1セットを落としたものの、サーブを立て直して逆転に成功。最終的には勝利をつかみ、準決勝進出を果たしました。

土曜日の対戦では、両選手とも強力なサーブを武器に試合の主導権を握ろうとする展開になりそうです。理想的な戦略はシンプルで、サービスゲームで主導権を握り、リターンゲームではプレッシャーをかけることです。しかし、Nitto ATPファイナルズでは物事が簡単に進むことはありません。

ダブルスの準決勝
木曜日の結果により、アレバロ / パビッチ組がこのペアとしては初めての PIF ATPダブルスランキングで年末1位が確定しました。アレバロ / パビッチ組は、金曜日に地元のボレッリ / ババソリ組を破り準決勝進出を決めています。

準決勝ではアレバロ / パビッチ組はヘリオバーラ / パッテン組と対戦します。好調の波に乗るヘリオバーラ / パッテン組の勢いがどこまで続くのかに注目が集まります。第7シードながら快進撃を続けているヘリオバーラ / パッテン組は、今週はダブルスでは唯一の3勝0敗の成績を収めています。

もうひとつの準決勝では、第5シードのオーストラリアペア、パーセル / トンプソン組と、第8シードのドイツペア、クラビーツ / プッツ組が対戦します。両チームともラウンドロビンでの戦績を2勝1敗で終えましたが、オーストラリアペアはマイク・ブライアン・グループで2位、ドイツペアは獲得セット数の差、5-2でボブ・ブライアン・グループ1位で準決勝に駒を進めました。