ATPのスターからテレビ界へ転身した松岡修造さんがアルカラスとシナーの「新テニス」を語る
ATPツアーはいま、とてもエキサイティングな新時代を迎えています。そのことを松岡修造さんは誰よりもよく理解しています。
日本でスポーツキャスター、テレビ司会者、モチベーショナルスピーカーとして広く知られる松岡さんは、テニス界の現状について語る資格のある人物です。PIF ATPランキングで最高46位、ATPツアーで1度の優勝、そして1995年ウィンブルドンではベスト8入りを果たした元トッププレーヤーだからです。
これまで何度も日本のスタジオから Nitto ATPファイナルズの解説をしてきた松岡さんですが、今週は初めて大会を現地で訪れました。58歳となった現在でも、テニス界の新しいスターたちについて意見を求められると、すぐに答えが返ってきました。
「いま一番好きなのはアルカラスとシナーです」と松岡さんはトリノで ATPTour.com に話しました。「全豪オープンでも全米オープンでも2人にインタビューしましたが、本当に素晴らしい人たちでした」
「私は日本テニス協会で25年間ジュニアを指導してきました。錦織圭もその1人です。テニスは完全に変わりました。アルカラスとシナーは新しいテニスをプレーしているんです。話し方、立ち居振る舞いもすべて新しい。だから私自身も変わらないといけないと思いました。話し方、振る舞い方を変える必要があります。テニスが変わっているのだから、日本でも新しい世代の育成、新しいテニスを始めないといけないです。それはメンタル面からのアプローチです」
Infosys ATP Win/Loss Index のデータで、ツアー通算145勝を挙げた松岡さんは、今回は日本の配信サービス「U-NEXT」のために現地で解説を担当しつつ、自身の Nitto ATPファイナルズ体験を撮影しています。
「とてもワクワクしています。今回初めてこの大会に来ました。これまでは日本で錦織圭やジョコビッチなどを実況していました。でも、こうして実際に来てみると全然違います。まるでショーのようです。選手たち、会場の雰囲気、関係者全員が『ファイナルズ』らしさを創り出しています」
「日本の皆さんに、Nitto ATPファイナルズがどれほど大きな大会で、テニスがどう進化しているかを紹介したいです。試合を見るだけではなく、ショーとしての演出、食事、場所、全部がとても大事です。私はここで学んだことをたくさん日本に持ち帰って、ジャパンオープンで活かして、テニスをもっとエキサイティングなものにしたいと思っています」
松岡さんの多彩な現役引退後のキャリアには、モチベーションを高める講演活動も含まれています。世界中で話題になっている、視聴者に向けて励ましの言葉を伝える短い動画シリーズのほか、2000年からは料理番組『くいしん坊!万才』のホストも務めています。松岡さんにとってイタリア訪問は、食の持つ心のつながりを改めて感じる機会でもあります。
「食べることは情熱であり、感情とも深く結びついています」と松岡さん。「イタリアの文化にはこの感覚が根付いています。食べ物、水、食事はいつも家族と一緒です。これは非常に良いことだと思います。1人ではなく、家族や友人と一緒に味わうことが重要です。あと2日ほど滞在できるので、食事やレストランも思い切り楽しみたい。さっきピザを食べましたが、日本とはまったく違いました」