シナーがジョコビッチに勝利。トリノの準決勝に近づく

イタリアの大観衆の声援の中、ヤニク・シナーがノバク・ジョコビッチから劇的な勝利を収め、Lexus ATP Head2Head で4度目となるジョコビッチとの対戦で初勝利を挙げました。ジョコビッチに7-5、6-7(5)、7-6(2)で勝利したシナーはトリノでの戦績を2勝0敗とし、グリーングループの首位に立ちました。なお、シナーの決勝トーナメント進出はまだ確定していません。
ジョコビッチは3時間9分にわたった対戦のほとんどでシナーを追う流れとなり、ファイナルセット、タイブレークではシナーの立ち上がりからの勢いに追いつくことができませんでした。ファーストセットはシナーが先取、セカンドセットはタイブレークの末、ジョコビッチが取り返します。そして、ファイナルセットもタイブレークにもつれ込む展開に。ファイナルセットのタイブレークではシナーが5ポイントを連取し大きくリード。最後はプレッシャーのかかる中でシナーがパワフルなビッグストロークを叩き込み、勝利をつかみました。
「試合中、少し自信が持てるように感じた瞬間がありました。大事な場面、とくに第3セットでは、私は本当に勇敢で頭を使ったプレーができていたと思います。2人ともサーブがとてもよかったので、ラリー戦になることはそれほど多くなかったですが、ラリーでも私たちはとてもいいプレーをしていました」とシナーは振り返っています。
「本当にハイレベルな内容の試合でした」。
ファイナルセット、シナーはフォアハンドのリターンを決めて4-2とリードします。しかし、ジョコビッチがこの試合で初のブレークを決めてブレークバック。試合の流れが両者を行き来するなか、タイブレークにもつれ込みました。タイブレークではシナーがリードする展開が最後まで続き、試合終了。シナーの勝利に観客が沸く中なかで、シナーはジョコビッチから温かい抱擁を受けました。
終始見事なショットを繰り広げたシナーが、両選手のハードコートでの初対戦を制し、シンシナティでの優勝以来続いていたジョコビッチの19連勝に終止符を打ちました。今季、シナーはツアーで自己最高となる59勝を挙げており、これはオープン化以降のイタリア人選手のツアー最多勝利の記録となっています。また、シナーはトップ10との対戦成績を10勝5敗とし、マイアミの準決勝では、当時世界1位だったカルロス・アルカラスから勝利をつかんでいます。今回のこの勝利で、世界1位との対戦で2勝目を挙げたシナー。2023年のインドアでの戦績は15勝1敗となりました。
ジョコビッチはシナーとの対戦について「主な違いは、重要な場面で彼の方が果敢に攻めていたことだと思います。重要な場面で私はアグレッシブさが足りなかったし、決定力も足りませんでした。彼にポイントを支配するチャンスを与えてしましました。第3セットの5-5、15-30、セカンドサーブの場面で、私はラリー戦で攻め込んでいくべきだったのに、そうしませんでした。一方で、彼は攻め込んできました」と振り返っています。
「彼を褒めるべきです。本当に素晴らしいプレーでした。私はネット際で彼にそう伝えました。最も重要な場面で彼は最高のプレーをしたんです」とジョコビッチ。
この対戦で放たれたサービスエースは両者合わせて35本におよびました。その素晴らしいサーブに加え、シナーは終始多彩なショットを披露。ドロップショットも織り交ぜ、ジョコビッチを翻弄しました。ジョコビッチがネットに出たときもシナーは素晴らしいプレーを見せ、見事なパッシングショットのウィナーを何本も決めました。
「私にとって大きな意味があります。グランドスラムで24勝している世界1位に勝てたことは、私のキャリアの中で明らかに上位に入る素晴らしい出来事です。戦術的な試合展開で、なんとか勝つことができました。本当にうれしいです」とジョコビッチから初勝利を挙げたシナーはコメントしています。
相手のプレーに拍手を送ったジョコビッチは、これでトリノでの戦績が1勝1敗となりましたが、決勝トーナメント進出の可能性はまだ残っています。木曜日の対戦では、ジョコビッチはステファノス・チチパス(背中のけがで棄権)に代わって出場するフベルト・フルカチュと顔を合わせます。シナーは、グループ内で3勝0敗を目指し、ホルガ・ルーネと対戦します。