第2四半期を振り返る:アルカラスが四大大会2大会で優勝、シナーが1位に
大会のサーフェスが移り変わる中、PIF ATP ランキングのトップの交代劇が起こるなど、ATPツアーの第2四半期シーズンはエキサイティングな展開が続きました。
カルロス・アルカラスとヤニク・シナーが素晴らしい活躍を見せ、ATPマスターズ1000の3大会では、ステファノス・チチパス、アンドレイ・ルブレフ、アレクサンダー・ズベレフが優勝。11月にトリノで開催される Nitto ATP ファイナルズの出場を目指し、プレーヤーたちは PIF ATP ランキングポイント獲得に励みました。ここでは、第2四半期のチャンピオンを振り返ります。
カルロス・アルカラス:全仏オープン、ウィンブルドン
s
4月から5月にかけて腕を痛めていたアルカラスは、第2四半期の2つの四大大会で最高のパフォーマンスを発揮しました。アルカラスは、全仏オープンで初タイトル、ウィンブルドンでは2度目のタイトルを獲得。全仏オープンでは準決勝と決勝で5セットまでもつれ込む激戦を制し、栄冠を手にしました。
アルカラスは、ロッド・レーバー、ビヨン・ボルグ、ラファエル・ナダル、ロジャー・フェデラー、ノバク・ジョコビッチに続き、オープン化以降、全仏オープンとウィンブルドンを制した6人目の選手となりました。そして、ウィンブルドンでは、決勝でジョコビッチを2年連続で下しての優勝でした。「私は11歳か12歳の頃に、インタビューでウィンブルドンで優勝するのが夢だと話しました。そして今、その夢を叶えているのです」と、オールイングランド・クラブで優勝したアルカラスはコメントしています。
ヤニク・シナー:世界ランキング1位とハレでの優勝
22歳のシナーは、PIF ATP ランキングで世界1位となった初のイタリア人選手、そして29人目の世界王者となりました。今シーズン42勝4敗という記録を残しているシナーは、全仏オープンで準決勝に進出し、世界ランキング1位に躍り出ました。全豪オープンを制したシナーの勢いはシーズン中盤になってもおとろえず、トップの座を守り続けています。
今季好調のシナーは、ハレで自身初の芝コートでのタイトルを獲得、ツアー通算14度目の優勝を手にしました。トップシードとして大会に臨んだシナーは、初戦からの3試合はファイナルセットにもつれ込む展開を強いられましたが、それはシナーの芝のサーフェスに適応する時間を増やすことにつながりました。シナーは、PIF ATPランキング史上(1973年以降)8人目となる世界1位として初めて出場した大会で優勝した選手となりました。
アンドレイ・ルブレフ:マドリード
「これは私のキャリアの中で最も誇らしいタイトルです」と、ルブレフはATPマスターズ1000での2度目のタイトル獲得となったムチュア・マドリード・オープンの優勝インタビューでコメントしました。この大会前に4連敗を喫していた26歳のルブレフは、スペインの首都マドリードで優勝への意欲と不屈の精神を見せました。ルブレフは、準々決勝で大会2連覇中のアルカラスに勝利、決勝ではフェリックス・オジェアリアシムを下し、栄冠に輝きました。
後に、ルブレフは、扁桃腺の痛みと闘いながらも、キャリア最高のパフォーマンスを披露したことを明かしました。「毎日、死にそうでした。夜は眠れませんでした。最後の3、4日はまったく眠れませんでした。ある日、目が覚めたら喉が通常の2倍の大きさに腫れ上がっていました。ものすごく痛くて、何かを飲み込むのがとてもつらかったです」 と、彼は決勝戦後に話しています。
アレクサンダー・ズベレフ:ローマ
ズベレフがイタリア国際テニス選手権でタイトルを獲得しました。2022年の全仏オープン準決勝で足首を痛め、ツアーを離れていたズベレフにとって、この勝利は復帰後に手にしたもっとも大きなタイトルでした。決勝で第21シードのニコラス・ジャリーを下し、優勝したズベレフは、「この優勝には特別な意味があります。私が再びこのような大会で優勝できることを証明してくれました」と話しました。ズベレフは、完璧なファーストサーブ、ベースラインからの強烈なショットを武器にATPマスターズ1000で6度目、ローマでは2017年以来、2度目の栄冠に輝きました。
チチパス、ルード、フリッツのハットトリック
ギリシャ出身のステファノス・チチパスは、2021年、22年に連覇しているロレックス・モンテカルロ・マスターズで最高のテニスを披露し、3度目の優勝を果たしました。準決勝ではシナーとの熱戦を制し、決勝ではカスパー・ルードを下し、タイトルを獲得しました。
「これは私にとって信じられないほどの勝利です。今日の勝利を掴むのは緊張しました。この3勝目を本当に手に入れたかったのです」とチチパスは話しています。
ノルウェー出身のルードは、バルセロナ・オープンでこれまでのキャリアの中でもっとも大きなタイトルを獲得し、前週のモンテカルロ・マスターズ決勝でチチパスに敗れた雪辱を果たしました。
ルードは、ジェネバ・オープンでこの4年間で3度目の優勝を果たし、テーラー・フリッツは、2019年と22年に優勝したイーストボーン国際で3度目のタイトルを手にしました。
その他の第2四半期シーズンのチャンピオン
PIF ATP ライブレースランキングで6位のアレックス・デミノー、トミー・ポール、アレハンドロ・タビロは、2024年の2つ目のタイトルを獲得しました。デミノーは、スヘルトーヘンボスで優勝し、Nitto ATP ファイナルズ初出場に向け好調の波に乗っています。ポールは、シンチ・チャンピオンシップスで初のATP 500でのタイトルを獲得しました。タビロはマヨルカ・チャンピオンシップスで栄冠に輝きました。
フランスのジョバンニ・ムペシ ペリカールは、地元リヨンのオープン・パークで素晴らしい活躍を見せ、大舞台での存在感をアピールしました。身長6フィート8インチ(約200cm)のムペシ ペリカールは、3度目のツアー大会への出場で決勝まで進出、トマスマルティン・エチェベリとの決勝戦を制し、優勝しました。ジャック・ドレイパーは、シュツットガルトで開催されたボス・オープンでツアー初タイトルを獲得しました。
ベン・シェルトンは、U.S. 男子クレーコート選手権で、クレーコートでの初優勝を果たしました。21歳のシェルトンは、2002年に19歳で大会を制したアンディ・ロディック以来の最年少チャンピオンとなりました。マテオ・ベレッティーニは、ハッサン2世グランプリで優勝し、2022年以来のツアータイトルを手にしました。また、フベルト・フルカチュ(エストリル)、ヤンレナルト・シュトルフ(ミュンヘン)、マルトン・フチョビッチ(ブカレスト)も、クレーコートで栄冠に輝きました。