2024年シーズン開幕から数か月、多くのトップスターがトロフィーを手にする

ATPツアーシーズンを成功させるには、スタートダッシュがカギとなります。

2024年、世界トップクラスの選手たちが、序盤から勢いをつけ、自信に満ち溢れたプレーを披露しています。そして、続くシーズンにおいても、この素晴らしいパフォーマンスをトロフィーにつなげていくことが重要になります。

トップ10プレーヤーのヤニク・シナー、カルロス・アルカラス、アレックス・デミノーは、今年最初の3か月で少なくとも1つのタイトルを獲得しました。多くの選手たちがそれぞれの目標を達成し、何人もの選手がツアー初優勝を手にしました。ここでは、ATPTour.com が、2024年シーズン序盤のチャンピオンを振り返ります。

ヤニック・シナー:全豪オープン、ロッテルダム、マイアミ
2023年の終わりを華々しく飾ったシナーは、今季序盤、さらに大きな成果を上げています。今シーズン最初から16試合連続で白星を挙げていた22歳のシナーは、インディアンウェルズの準決勝でアルカラスに連勝を阻まれましたが、翌週のマイアミでタイトルを獲得し、PIF ATPランキングで自己最高の2位に浮上しました。

シナーの2024年シーズンは、全豪オープンでのグランドスラム初タイトルで幕を開けました。準決勝では、10度の優勝を誇るノバク・ジョコビッチのメルボルンでの33連勝に終止符を打ち、決勝ではメドベージェフに対し、2セットダウンからの逆転勝利を収めました。22歳と165日での優勝は、2008年にジョコビッチが全豪オープンで優勝して以来の最年少記録でした。

Jannik Sinner
全豪オープンで初のグランドスラムタイトルを獲得したヤニク・シナー Photo Credit: Daniel Pockett/Getty Images

シナーは、ロッテルダムで開催されたABNアムロ・オープンでツアー通算12勝目、マイアミ・オープンで13勝目を挙げました。この2大会では、各大会でたった1セットしか失わずにタイトルを手にしました。今季、22勝1敗という好成績を残しているシナーは、PIF ATP Live Race To Turin で首位に立っています。

2024年ツアー最多勝試合数

選手
勝敗
ヤニク・シナー
22-1
グリゴール・ディミトロフ
20-5
アレックス・デミノー
19-6
ダニル・メドベージェフ
18-4
カスパー・ルード
18-5
アレクサンダー・ズベレフ
18-6

カルロス・アルカラス:インディアンウェルズ
全豪オープンでの準々決勝進出、ブエノスアイレスでの準決勝進出と、アルカラスは今年、地味ながらも堅実なスタートを切りました。しかし、ATPツアーへの参戦以来、目を見張るような高いレベルのプレーを見せてきたアルカラスが、このような結果に満足することはなく、BNPパリバ・オープンでは、たった2セットしか失わずに見事タイトルを獲得。大会2連覇とともに、ふたたび勝者の輪に戻ってきました。

アルカラスの大会2連覇達成は、14年から16年にジョコビッチが3連覇を達成して以来の連覇の記録となりました。アレクサンダー・ズベレフとの準々決勝では、蜂の群れがコートに入ってきたために試合が中断するという場面もありましたが、20歳のアルカラスは集中力を切らすことなく勝利を引き寄せました。そして、準決勝では今季連勝を続けていたシナーを下し、決勝に進出しました。

決勝は23年の決勝と同じ顔合わせ、ダニル・メドベージェフとの対戦となりましたが、アルカラスがストレートで勝利し、マスターズ1000で5度目の栄冠を獲得。昨年のウィンブルドンでの勝利以来、8か月ぶりにツアータイトルを手にしました。マイアミで準々決勝敗退を喫したアルカラスは、PIF ATPランキングでシナーに次ぐ3位に後退しましたが、インディアンウェルズでタイトルを獲得し、好調の波に乗ってヨーロッパのクレーコートシーズンに臨むことでしょう。

アレックス・デミノー:アカプルコ
メキシコの太平洋岸には、デミノーの最高の状態を引き出す何かがあります。

デミノーは、アカプルコで開催されたメキシコオープンで堅実なプレーを披露し、2年連続で優勝を飾りました。ステファノス・チチパスとカスパー・ルードを破りATP500のトロフィーを手にした後、彼はすぐにサンディエゴへと向かいました。その理由は、 彼のガールフレンドでありWTAツアーで活躍するケイティ・ボルターの決勝戦を観戦するためでした。

アカプルコでの勝利により、1月はデミノーにとって印象的なものになりました。オーストラリア代表としてユナイテッドカップに出場したデミノーは、テイラー・フリッツ、ジョコビッチ、ズベレフに連勝し、初のトップ10入りを果たしました。Nitto ATPファイナルズでのデビューを目指すデミノーは、4月の PIF ATP Live Race To Turinで5位につけています。

ウーゴ・アンベール:マルセイユ、ドバイ
ATPツアーで決勝に進出した選手にとって、ウンベールはネットの向こう側に立っていてほしくない選手です。25歳、フランスのアンベールは、2月のマルセイユでグリゴール・ディミトロフを、ドバイではアレクサンダー・ブブリクを破り、ツアーレベルの決勝戦での戦績を6勝0敗としました。

この2大会のタイトル獲得は、アンベールにとって別の意味でも特筆すべきものでした。マルセイユで開催されたATP250のオープン13では、コーチのジェレミー・シャルディが同行できなかったため、ガールフレンドでWTAプレーヤーのテサ・アンドリアンジャフィトリモがコーチを務めました。また、ATP500での2度目の優勝となったドバイ・デューティーフリー・テニス選手権のタイトル獲得により、アンベールは世界ランキングで自己最高の14位に浮上しました。

セバスチャン・バエス:リオデジャネイロ、サンティアゴ
アンベールと同様に、バエズも2月にATP 500、ATP 250でタイトルを獲得しました。23歳のバエスは、リオ・オープンで、同郷アルゼンチンの3選手、そして地元ブラジルのスター、チアゴ・モンテイロを下し、自身5度目のATPツアータイトルを獲得しました。

その1週間後、サンティアゴで開催されたチリオープンでは、バエスは地元期待のアレハンドロ・タビロを破り優勝、6度目のATPツアー・チャンピオンとなりました。ひとりの選手が南米のクレーコートシーズンで2勝以上を挙げたのは、2020年以来の記録でした。また、この勝利により、バエスは PIF ATPランキングのトップ20入りを果たしました。

グリゴール・ディミトロフ:ブリスベン
ブルガリアのディミトロフは、ATP250、ブリスベン国際の決勝で第1シードのホルガ・ルーネを下し、2017年の Nitto ATPファイナルズ以来、通算9度目のATPツアータイトルを手にしました。今季序盤から好調の波に乗っていたディミトロフは、マイアミで自身3度目となるマスターズ1000の決勝進出を果たしました。今シーズンの戦績は20勝5敗、PIF ATP Live Race To Turin では6位に位置しています。

アンドレイ・ルブレフ:香港
ルブレフは、新年を祝うなかで開催されたATP250の香港オープンで優勝、15度目のタイトルを獲得しました。26歳のルブレフは、#NextGenATP のスター、アーサー・フィルス、シャン・ジュンチェン、エミール・ルースブオリを下し、2002年以来の開催となった香港オープンで栄冠に輝きました。

その他の第1四半期のチャンピオン
2024年は、すでに5名の選手がATPツアーで初優勝を挙げました。1月初旬には、ジリ・レヘカがアデレードで、アレハンドロ・タビロはがオークランドでツアー初優勝を獲得し、先陣を切りました。ルチアーノ・ダルデリ(コルドバ)、ファクンド・ディアス・アコスタ(ブエノスアイレス)、ジョーダン・トンプソン(ロスカボス)もツアーでの初優勝を果たしています。

その他では、カザフスタンのアレクサンダー・ブブリクがモンペリエで通算4度目のツアータイトルを獲得しました。これは、ATPツアー史上初となる、すべての試合で第1セットを落とした後の逆転勝利による優勝でした。4月に入り、トップ20のスター、トミー・ポール(ダラス)、テイラー・フリッツ(デルレイビーチ)、カレン・ハチャノフ(ドーハ)も、それぞれトロフィーを獲得しています。