メドベージェフ、ジョコビッチ、アルカラスらが第1クォーターで優勝

世界トップクラスのプレーヤーが集結するATPツアーが開幕しました。でも各大会で優勝できるのはたったひとりです。
2023年、最初の3か月間でツアータイトルを手にしたプレーヤーは14人。中には何度も表彰式でトロフィーを掲げた選手もいます。もっともタイトルを獲得したのは4度優勝のダニル・メドベージェフで、ノバク・ジョコビッチとカルロス・アルカラスは2度優勝しています。
ATPツアーでは、この3か月間に、たくさんのドラマや歴史的な勝利が生まれました。ここでは、2023年第1クォーター(1月から3月)のチャンピオンを振り返りながら、Pepperstone ATP Live Race To Turin(ATPレースランキング)と 2023 Nitto ATP ファイナルズ出場候補選手にスポットをあてます。
ダニル・メドベージェフ: ロッテルダム、ドーハ、ドバイ、マイアミ
27歳のメドベージェフは、2月、3月、4月の5つのハードコート・トーナメントで24勝1敗という素晴らしい成績を収め、オーストラリアでの不調から見事な復活を遂げています。ロッテルダムでのインドアのATP500大会、ABN アムロ・オープンでは、フェリックス・オジェアリアシム、グリゴル・ディミトロフ、ヤニク・シナーを破りタイトルを獲得。その後、中東の大会では、ドーハのカタール・エクソンモービル・オープン(決勝でマリーに勝利)、ドバイ・デューティフリー・テニス選手権(決勝でルブレフに勝利)でタイトルを手にしています。
元世界ランキング1位のメドベージェフは、インディアンウェルズの BNPパリバ・オープンでも波に乗っていましたが、決勝でアルカラスに敗れ、あと一歩のところで大会4連覇を逃しました。2021年以来の ATPマスターズ1000大会でのタイトルを目指していたメドベージェフは、マイアミ・オープンでは、1セットしか落とさずに優勝を果たしました(決勝でシナーに勝利)。
ロッテルダム、ドーハ、ドバイ、マイアミで大会初優勝を飾ったメドベージェフは、今季、大会連覇の記録は逃しているものの、ツアー通算で19度タイトルを手にしています。ベースラインでの激しいラリー戦を制し、大事な場面で勝負強さを見せつけ好調の波に乗るメドベージェフは、Pepperstone ATP レースランキングで1位の座に着いています。2位のジョコビッチとは600ポイント差です。
2023年ツアー最多勝利数
プレーヤー | 戦績 |
ダニル・メドベージェフ | 29-3 |
ヤニク・シナー | 21-5 |
キャメロン・ノリー | 21-5 |
テーラー・フリッツ | 20-6 |
カルロス・アルカラス | 18-2 |
ノバク・ジョコビッチ | 15-1 |
ノバク・ジョコビッチ:アデレード、全豪オープン
2023年シーズンの幕開けを飾るオーストラリア・ツアーで優勝し、好スタートを切ったジョコビッチ。アデレード国際1では、決勝でセバスチャン・コルダとの接戦を制し、通算92勝目のツアータイトルを獲得しました。
全豪オープンでのジョコビッチは終始好調なプレーを展開。ハムストリングに問題を抱えながら大会に臨んだ35歳は、メルボルンで2週間にわたって行われた四大大会の開幕戦で、わずか1セットしか落としませんでした。決勝戦ではステファノス・チチパスをストレートで下し、自身の持つ大会最多優勝記録を更新する10度目のタイトルを獲得。ラファエル・ナダルが持つ史上最多22度目の四大大会タイトルの記録に並びました。
この歴史的な勝利により、ジョコビッチは約7か月ぶりに Pepperstone ATPランキング1位に返り咲きました。2月27日には通算在位記録を378週に伸ばし、男女合わせて歴代最長だったシュテフィ・グラフの記録を塗り替えました。
カルロス・アルカラス:ブエノスアイレス、インディアンウェルズ
19歳のアルカラスの2023年シーズンは、けがのため2月からのスタートとなりましたが、アルカラスがツアーでの圧倒的な実力者としての地位を再び築くのに時間はかかりませんでした。復帰戦となったブエノスアイレスのクレーコートの大会、アルゼンチン・オープンでは、キャメロン・ノリーをストレートで下し、通算7度目のツアータイトルを獲得。大会史上初の10代チャンピオンとなりました。
この翌週のリオデジャネイロの決勝ではノリーがアルカラスに雪辱を果たしましたが、続くインディアンウェルズのハードコートの大会、BNPパリバ・オープンでは、アルカラスは1セットも落とさずに大会初制覇。オジェアリアシム、シナーを下し、決勝ではメドベージェフに勝利してATPマスターズ1000大会での3勝目を挙げました。
この勝利でアルカラスは6週間ぶりに世界1位に。マイアミでの準決勝でシナーに敗れ、Pepperstone ATPランキングで再びジョコビッチに首位を譲ったものの、今季の戦績を18勝2敗とし、Pepperstone ATP レースランキングでは3位につけています。
ヤニク・シナー:モンペリエ
今シーズン開幕以来ツアーで最も安定した成績を残しているシナー。シナーのベースラインからのショットは、世界中の観衆を魅了しています。21歳のシナーは、今季出場したすべての大会で2試合以上勝利を挙げており、2月にモンペリエで開催された南フランス・オープンでは、1セットも落とさずにツアー通算7度目のタイトルを獲得しました(決勝でクレッシーに勝利)。
2023年、シナーの「サンシャイン・ダブル(インディアンウェルズ、マイアミの2大会連続制覇)」を目指す物語のハイライトは、アルカラスとの2度の準決勝戦でした。この対戦は2人の若きスター同士のライバル関係を見事に象徴した戦いとなり、インディアンウェルズではアルカラスが勝利、マイアミではシナーがフルセットにおよぶ激闘の末にアルカラスを破りました。
シナーは、マイアミ・オープンの決勝ではメドベージェフに敗れ、ATPマスターズ1000大会での初優勝を逃しましたが、21勝5敗の戦績とツアーのトップ選手らと互角に戦い抜いた自信を持って、続く世界ツアーの舞台となるヨーロッパでのクレーコートの大会に臨みます。
テーラー・フリッツ:デルレイビーチ
世界7位のフリッツが、ハードコートのATP250大会、デルレイビーチ・オープンで圧倒的な強さを見せて優勝、この12か月で4度目、ツアー通算5度目の栄冠に輝きました。この大会でフリッツがセットを落としたのは、ミオミル・ケツマノビッチとの決勝戦での1セットのみ。31年の大会史上、初のトップ10選手のチャンピオンとなりました。
キャメロン・ノリー:リオデジャネイロ
リオデジャネイロで、大会第2シードのノリーがアルカラスに逆転で勝利、今季初のATP500大会の栄冠を手にしました。ノリーは、決勝戦でアルカラスが7-5、3-0 0/30でリードという苦しい状況から形勢を逆転させ、ツアー通算5度目のタイトルを引き寄せました。
その他のATPツアー第1クォーターのチャンピオン
1月のダラス・オープンでは
ウー・イービン が優勝、中国男子初のATPツアー・チャンピオンとなる歴史をつくりました。
3月にはアカプルコのメキシコ・オープンで
アレックス・デミノー が自身初のATP500大会のタイトルを獲得しました。
また、36歳の
リシャール・ガスケが、1月にオークランドで開催されたASBクラシックで優勝し、約5年ぶりとなるツアータイトルを獲得しました。