フェリックス旋風を支える原動力

Nitto ATP ファイナルズの第5シードの選手が、どの選手よりも勢いを持ってシーズン最終戦を迎えるのはめずらしいことです。しかし、フェリックス・オジェアリアシムはその数少ない選手になりました。
22歳、カナダのオジェアリアシムは、今季最高の状態でトリノに乗り込んできました。先月のATP250のフィレンツェ以前は、オジェアリアシムのATPツアーでのタイトルはひとつだけでした。そして、16試合で連勝し、フィレンツェ、アントワープ、バーゼルの3大会でタイトルを獲得しました。
「何がきっかけになった、というのはないと思います。この調子でプレーしていけば、もっと勝つチャンスがあると感じたことは確かです」 と、オジェアリアシムは話しています。
身長193cm、右利きのオジェアリアシムの武器といえば、効果的なサーブです。16試合で連勝していたときにはサービスゲームの95%(167/175本)をキープしていました。また、今シーズンのサービスゲームのキープ率は86%に達しています。
オジェアリアシムは、この16試合で175本のエースを打ち、39回あったブレークポイントのうち31回(79%)をセーブしています。
「変わったところは何もないです。他の試合や過去に出場したトーナメントでも、良いサーブを打てていたと思います。ツアーの中で良いサーブを打つ選手のひとりになる資質はあると常に感じていますし、レベルも安定していると思います。室内でのプレーは風もなく、コンディションも変わらないので、自分のリズムを見つけ、良いサーブができていると感じられれば、それを維持することができます。それが大きな鍵になるのです」と話していました。
元世界4位のブラッド・ギルバートは、オジェアリアシムのプレーを間近で見てきました。コーチとしても実績のあるギルバート氏は、オジェアリアシムのサーブの、ある側面が向上していることに気づいていました。
「数年前までは、オジェアリアシムはサーブのときにトスが右に行くことが多く、かなり前に出ていました。今年はそれが劇的に改善されました。サーブに関するさまざまな数字が良くなっていますし、サーブの精度も上がって、ワンツーのパンチ(サーブからのいい展開)にもつながっています。サーブのトス。それが彼のサーブに大きな影響を及ぼしているのでしょう」
この16試合でオジェアリアシムがサービスゲームを落としたのはわずか8回。この数字がすべてを物語っています。オジェアリアシムは、ロレックス・パリ・マスターズの準決勝で、優勝したホルガ・ルーネに敗れはしましたが、最終戦に向けて自信に満ち溢れています。

Photo Credit: Corinne Dubreuil/ATP Tour