シーズン最終戦の栄冠はシナーに輝く。Nitto ATPファイナルズでアルカラスを下す
ヤニク・シナーは、日曜日、トリノで開催された Nitto ATPファイナルズで、熱狂的なイタリアの観客の後押しを受け、ライバルのカルロス・アルカラスを7-6(4)、7-5で破り、見事に大会2連覇を達成しました。
世界ランキング1位のアルカラスと2位のシナーは、2025年シーズンを通して圧倒的な存在感を示し、四大大会を含む計14のタイトルを獲得したました。両選手による「2強時代」のシーズンを締めくくる舞台として、エネルギーに満ちたインドアコートでの対決は、これ以上ないフィナーレとなりました。
ライトに照らされた熱気あふれる雰囲気の中、シナーは終始、極限のプレーを披露しました。24歳のシナーは、ベースラインから驚異的なスピードと精度で打ち込み、アルカラスを思わせる芸術的なプレーも随所に織り交ぜ、いくつもの華麗なロブも決めました。最大の試練は第1セット第12ゲーム、5-6、40-A のセットポイントでしたが、シナーは時速117マイル(約188km/h)の氷のように冷静なセカンドサーブでピンチをしのぎました。2時間15分の激闘を制したシナーはジョン・マッケンローとボリス・ベッカーに続き、母国開催の Nitto ATP ファイナルズを複数回制した3人目の選手となりました。
「私たちは個人競技の選手ですが、チームなしでは実現しません。この数カ月は本当に激しい時間でしたので、シーズンの終わりにこのトロフィーを祝えることは最高の締めくくりです」と、勝利後にチームと抱き合ったシナーは話しました。「本当に僅差の試合でした。第1セットではセットポイントをしのぎましたし、この状況を乗り切れたことにとても満足しています。私にとって大きな意味のある勝利です」
シナーは第2セットでブレークを許しましたが、落ち着いてアルカラスの多彩なショットを吸収し、インドアでの驚異的な連勝記録を31に伸ばしました。最後にインドアで敗れたのは2年前、トリノでのノバク・ジョコビッチとの決勝でした。それ以来、ロッテルダム、トリノ(2回)、ウィーン、パリでタイトルを獲得し、イタリアの2度のデビスカップでの優勝にも中心的な役割を果たしてきました。
今大会を5戦全勝で終え、過去2大会での Nitto ATP ファイナルズ成績は10勝0敗となりました。シナーは大会史上最高額となる 5,071,000ドルの優勝賞金を獲得し、トリノを後にしました。1セットも落とすことなくタイトルを手にしたシナーは、Nitto ATPファイナルズでの勝率で史上最高88.2%を記録、イリ・ナスターゼを抜いて歴代1位となりました。
一方、アルカラスは木曜日にラウンドロビンの3戦全勝で PIF ATP 年末ランキング1位を確定させ、9月の全米オープン決勝でもシナーに勝利していましたが、今回のシナーの母国での見事な勝利によって、シナーはオフシーズンに向けて大きな追い風を得ました。
「今日の自分のプレーにはとても満足しています」とアルカラスは表彰式で話しました。「彼はインドアで2年間負けていません。それがどれほど偉大な選手であるかを示しています。チームとともに素晴らしい努力を積み重ねていますし、負けることは稀ですが、負けるたびにさらに強く戻ってきます。本当にふさわしい決勝でした」
Lexus ATP Head2Head の対戦成績では、シナーは6勝10敗とまだ負け越していますが、ウィンブルドンと今回のトリノでの勝利は、この時代の中心となるライバル関係がこの2人であることを強く示す結果となりました。
「今日は本当にタフな試合でした」とシナー。「カルロスと対戦する時は、常に最高のプレーをしなければなりません。ときどき良いサーブが打てましたが、彼はテニス界で最もリターン力に優れた選手のひとりです。もちろんノバクもいます。それでも、こうしてシーズンを締めくくれたことにとても満足しています。私にとって大きな意味のある勝利です」
イナルピ・アリーナの熱狂に包まれ、両選手は立ち上がりから質の高いプレーを披露しました。第1セットの2-2、40-40 では、アルカラスがラインぎりぎりのバックハンドのショットをダウンザラインに決めてピンチを脱出。次のゲームではシナーが低い位置からのバックハンドのウィナーで応酬。このアルカラスもうなずくほどのスーパーショットに、観客は「オーレ、オーレ、オーレ、オーレ、シナー、シナー」と大合唱で盛り上がりました。
第1セットで5-4でサービスゲームをキープしたアルカラスは、右太ももの上部の問題でメディカルタイムアウトを取りましたが、脚にテーピングを施したにもかかわらず、特に影響を受けている様子はありませんでした。アルカラスは巧みなフォアのドロップショットとボレーを続けて決めてセットポイントを迎えましたが、シナーはアルカラスのボディへのへ強烈なセカンドサーブでしのぎました。シナーは時速105マイル(約169km/h)のフォアハンドウィナーとワイドへのビッグサーブでゲームをキープし、タイブレークに突入。タイブレークではシナーが2度の見事なロブを決め、イナルピ・アリーナの屋根を揺るがすほどの歓声を誘いました。そしてシナーはそのまま最初のセットポイントをものにしてセットを奪いました。
しかし、第2セットは開始早々に、今大会で初めてシナーがサービスゲームを破られる展開となり、会場内の雰囲気は一変。シナーはこのゲームでダブルフォールトを2本犯し、アルカラスに活路を与えてしまいました。しかし、幸運にもシナーに反撃のチャンスが訪れます。シナーのブレークポイントでのリターンがフレームショットながらもイン、そして完璧なドロップショットを決めて3-3に追いつきました。シナーはセット終盤に再び攻撃性を高め、ファーストサーブの確率を上げ、最後のブレークに成功して記憶に残る勝利を収めました。
シナーは今シーズンを58勝6敗で終え、全豪オープン、ウィンブルドン、Nitto ATPファイナルズ、パリ、北京、ウィーンでタイトルを獲得しました。アルカラスは71勝9敗を記録し、全仏オープンと全米オープンを含むツアー最多の8タイトルを手にしました。
豆知識 / Did You Know?
24歳のシナーは、シーズン最終戦の連覇を達成した9人目の選手となりました。今世紀(2000年以降)では、レイトン・ヒューイット(2001-02)、ロジャー・フェデラー(2003-04、2006-07、2010-11)、そしてノバク・ジョコビッチ(2012-15、2022-23)のみがこの偉業を達成しています。
